マグロについて(マグロの種類)

 「マグロ」と一言でいっても、数種類のマグロが存在し、それぞれ奥の深い魚です。大まかに分けて、以下のような5種類のマグロが存在します。

メバチマグロ(Big Eye Tuna
マグロの目玉が大きくパッチリしていることから、メバチ(目鉢)とよばれ、魚体が紡錘形で、ダルマのように丸っこくなっています。肉質は赤身が深く、弾力性があるが、産地によっては、赤身の色が黒っぽいものもあります。エクアドル産のものは色がどす黒いものもあり、白人を中心とする外国人には嫌われがちです。味は濃淡で、日本人の中ではエクアドル産を好む人も多くなっています。また、コスタリカ産のものは、鮮度が良いにもかかわらず、嫌なにおいを放つものが多く、敬遠されがちといえます。

●キハダマグロ(Yellowfin Tuna
魚体の側面が黄色っぽいことから「黄肌」とよばれるが、全体的に長細いことが特徴です。特に、尾がメバチに比べてスラッと長くなっています。肉質は、赤身が明るく、メバチより弾力性が強いイメージがあります。他のマグロとことなり、脂は載っても少なく、味も淡白なあっさりとしたものが多くなっています。

●ビンナガマグロ(Albacore Tuna
マグロの中では最も小さい型で、胸鰭が著しく長いことから、「ビンナガ」とよばれ、また、トンボの羽のようにも見えることから、「トンボ」という別称ももちます。昔は、シーチキンを代表とする缶詰原料にのみ使われていましたが、近年は、日本でも寿司ネタとしても少しずつ普及してきているようです。肉質は赤身ではなく、ピンク・白っぽく、とても淡白な味となっています。

●ホンマグロ <クロマグロ>(Bluefin Tuna
マグロ界の王者といわれるもので、大きさ、脂の載り、味、肉質ともバランスよく兼ね備えています。価格も他のマグロよりも抜きん出て高額で、一尾が数百万円になることもザラにあります。近海ものは生で、遠洋ものは「急速冷凍」という-60℃の温度でいっきに船上凍結されます。「冷凍もの」というと、評価が落ちるように思えますが、ホンマグロの場合はそうではなく、高い技術で鮮度と旨さを急速に閉じ込めるという感があります。

ミナミマグロ<インドマグロ>(Southern Bluefin Tuna
ホンマグロに比べ、魚体が小さく、目玉と胸鰭が大きいのが特徴です。南アフリカ・ニュージーランド・オーストラリアを中心とする南半球沖に生息します。肉質は、味・脂の載りともホンマグロに次いで豊富で、高額なマグロとなります。蓄養も盛んで、ケープタウン・ニュージーランドではかなり力が入れられているようです。

バンクーバーで見かけるマグロ

 おそらく、どの寿司屋でも一番消費されているのは、「ローカルマグロ(ビンナガ)」で、日本では考えられない状況です。レストランに行き、「マグロ」を頼むと、大抵は「白いマグロ」がでてきます。地元の新鮮な魚を使っているというより、他の赤身マグロと比べると1/10程度の価格で仕入れることが出来る点、また、お客さんがあまり赤身のマグロを要求しない(知らない?)点が原因と考えられます。因みに、このローカルマグロは、全て冷凍もので、卸業者、レストラン側にとって、必要なときにオーダー・解凍できるので、扱いやすい食材となっています。

   次に、お寿司屋、また、洋食系のレストランでよく見かける「Ahi(アヒ)」というマグロがありあます。これは、ハワイ現地でキハダをこうよぶことからきていますが、外国人シェフを抱えるお店では、「AhiAhiだ」と譲らないこともあります。メニューに「Ahi」と出ている場合は、キハダマグロが使われていると考えて、ほぼ間違いない。

 弊社でも一番よく扱っているメバチは、キハダより目にすることが少ないといえます。ひとつには、キハダの方が安く市場に出ていることと、洋食系のレストランでは、身質がかためなキハダを好む傾向にあるからと考えられます。実際、洋食系の店では、寿司・刺身としてお客に出すこと目的ではなく、加熱処理、ソースをつける料理がメインなので、味の濃淡は殆ど考慮されない状況があります。

 ホンマグロ・ミナミマグロもシーズンごとに目にします、天然ものは、東海岸から、蓄養のものは、スペイン・メキシコ・オーストラリア・イタリアなどのものが市場に出回ります。8月から10頃までは、天然ものがあり、それ以降は、蓄養ものとなり、それでも4月頃にはシーズン終了となり姿を消します。天然ものは、やはりかなりの値がつき、お寿司屋としても殆ど儲けは期待できないが、お客さんへのサービスという色が濃いと思えます。

頭を悩ませるマグロ

 ビンナガマグロを除いた、他のマグロを販売するにあたり、卸業者を悩ませる数点の問題があります。

@サシ
 マグロを切ってみないと目に付かない問題で、身に穴が開いていることを「サシ」といいます。サシの原因は、様々な論説があるが、どれも確信的なものはなく、自然と生じるものとも思えます。サシがある部分は、寿司・刺身としては使用できず、切り取る必要があり、その分の歩留まりロスが出てしまいます。若干のサシであれば、なんとか整形もできますが、中には身の中奥までの深いサシ、また、複数のサシが入っている場合もあり、商品としては認められない状態もあります。

Aレインボー
 マグロをカットした際、表面が虹色になっているものがあります。これは、鮮度落ち、もしくは、漁獲時また、その後、マグロが暴れ、魚体温度が上昇した際に生じるとされています。これも商品価値をかなり落とす原因となり、販売には大きな支障となります。

Bコンニャク
 マグロの身質が、コンニャクのようにプリプリしていて、食べても全く旨くありません。原因は不明です。

マグロの栄養価

 動脈硬化に効果のあるEPA(エイコサペンタエン酸)、DHA(ドコサペンタエン酸)が含まれており、特にDHAの含有量は際立っています。これは、鰯や鯖などの青魚にも含まれており、「頭をよくする」ことで有名です。

 他にも、ビタミンAB1DE・鉄分・ミネラルが豊富です。

水銀の問題

 魚介類には、自然界に存在する水銀が含まれているとされており、食物連鎖の最上位にいる大型魚類は水銀の含有度が高いとされ、マグロも例外ではありません。
 現段階では、妊婦を除く人々については、水銀による健康への悪影響が懸念される報告はないとされています。妊婦に関しては、低濃度の水銀接収でも、胎児の脳の発達へ若干の悪影響があるとされています。よって、「妊婦、もしくは妊娠していると思われる人」については、マグロのみならず、魚介類の摂取は避けた方がよいと思われます。

                                                                        

 

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